小学校低学年の頃は、ひと月の3分の1を祖父母の家で過ごしてました。朝はおじいさんと近所の商店街にある喫茶ドリアンでモーニングをキメ、家に着いてから痛快エブリデイを鑑賞。その後、土井勝や程一彦の料理番組をハシゴ。テレビに飽きてくるとカセットテープに録音してある落語を聞きまくる、という生活をしていました。数多あるコレクションの中で私のお気に入りは桂枝雀の代書屋と桂べかこのちりとてちんでしたね。同じものを何回聞いても面白い、ほんま凄い芸です落語て。
たまの外出は四天王寺のおだいっさんか、ジャンジャン横丁。まだ新世界が新世界だった頃の串カツ屋、ビールを飲むおじいさんの横で瓶のコーラかバヤリースを飲んでました。だからうちのソフトドリンクは瓶コーラとバヤリースなのだよ。
新世界で一番印象に残ってる光景はやっぱあれです。店先で店員が小型マイクを付けてなにやら捲したてながら物を売っている、ショーケースを挟んだ店員の前にはおっさんがわんさか。売り物は何かいな、と覗くとポケットサイズのラジオ。おいおっさん、ラジオごときでこんなに群がるな、と一歩引いて眺めていると、うちのおじいも群に加わろうとしておる。待て待て待て、家に何個ラジオあんねん、大きいのから小さいのまでそれこそ店出来るくらい。まあでもあの声、あれは人を惹き付ける魔声でした。
先日、お客さんから教えてもらったのが動楽亭という寄席。毎月一日から二十日まで毎日いろんな咄家が落語をするってんで行ってきました。幼少期の思ひ出にまとめてダイブ。若手からベテランまで、古典やら新作やら大いに楽しませてもらいました。
ただ、この日一番笑ったのは落語に行く前、腹拵えをしようと入った立ち食いうどん屋でした。月見を食べている私の目の前で、ちっちゃい椅子に座りエースコックのワンタン麺を食べ始めたおばちゃん。あなたが一番面白い。そのセンス、少し分けて頂けないでしょうか?